東雲赴く藤の園にて

覚書やら考察やら日常やら。

斉天大戦覚書

去る8月30日、22回目の誕生日に、観て参りました。

「極上ナゴヤ歌舞伎 斉天大戦ー天上天下唯我独猿編ー」。

たまたま家族旅行で行った明治村でたまたま神対応された漱石先生の中の人がたまたまナゴヤ座に加入していてたまたまナゴヤ座に落ちていた友人がいてたまたま斉天大戦初日が私の誕生日だった、なんていう幾重にも重なった縁と運命に導かれて一週間前に決めた弾丸日帰り観劇旅。私はとんでもなく深い場所に足を踏み込んでしまってもう引き返せないのかもしれないとじわじわ実感しています。具体的に言うと今月末一泊二日で本拠地行きが決定しました。

そんなレベルで即落ちした舞台の感想、残さぬ訳にはいかないだろうと久々に筆を取る(キイを叩く)次第です。

 

二時過ぎに名古屋に着き、ひとまずチケット引き換えようと思って劇場行ったら中にサンザ殿が見えて動揺したり名古屋飯堪能したり待機列でお話していた方に奈良から来たことに驚かれたりしつつ劇場入り。まさかの自由席でどうしようかと悩んだもののどうせなら最前で、と上手側の最前、そして俳優オタクの性で通路横の席を選びました。(ここ伏線です)

パンフを購入し、ガシャを回し(ちゃっかりジューローさんの当たりを引き)……みつやにラインでひたすら助けを求めつつ席に着いて待っていると、「ちゃかちゃんりんちゃんりんでんでん♪」という声と共に2人組が登場。

 

まさかの トラザさん

 

斉天までにいろいろ漁っている中で「トラザさんは絶対にヤバい」と思っていたところ、まさかの前説に登場。なんかめちゃくちゃ可愛いし。おひねりシャワーにテンション上がってたりおひねり多すぎて集めきれなくてはよせえってせっつかれてたり、ひたすら可愛くて(近い…かわいい…近い…)となっていたら、まさかまさかの、ここで伏線回収。真横を走り抜けちょっと後ろで止まるトラザさん。振り返ればそこにいる。かわいい。通路席を選んだことがここで効いてくるとは…。しかもあとあと聞いてみればこのときのトウザさんトラザさんの組み合わせの忠信利平はどうやら珍しいものだったらしいじゃないですか。私の初めての生ナゴヤ座、のっけから特殊…。前説のかわいい利平と本編のかっこいい二郎神、とんでもないギャップを見てしまったことでより深く沈むことになっているようないないような。

 

さて本編の感想ですが。とりあえず最前を選んで良かったなと思います。円形劇場で舞台が低いこともあってド迫力。あんな至近距離であの熱量のお芝居浴びて、好きにならないわけがない…。笑って泣いて、本当に面白い、素敵な物語でした。

ここからは文章化してるとキリがないので箇条書きで。時系列もバラバラかも知れないし多分記憶が混濁してるとこもある。また思いついたら加筆するかも?

 

・これは本編の感想ではないんですが、まんまとオヒネリガシャの楽しさを知ってしまったオタクです。オヒネリ投げるの楽しい。まんまと幕間休憩の時追加で回しました。ジューローさんトラザさんサンザ殿のサイン入りフォトカ引けたのは確実に誕生日の運補正。 

・サンキューさんすごい。絶対面白い。笑いって人によって引っかかる部分が全然違ったりするし、「ちゃんと笑いを取る」って実はかなり難しい。でもサンキューさんはずっと三枚目キャラで通してて出番も結構多いのに、出てくる度に笑える。で、またその笑いが全く内輪受けとかじゃないのもすごい。誰が見ても面白い。笑いの要素が独立してるんじゃなくてちゃんとお芝居の中に組み込まれててちゃんと面白い、そのバランス感覚がすごい。この時点で、(この人たち、凄い人たちだ)と実際に体感して確信しました。

・私の頭の中にある西遊記は峰倉先生の「最遊記」がベースなので、ちょっと情けない三蔵、新鮮でめちゃくちゃ可愛かった…サンスケさん、笑顔が素敵。可愛い。

・「縁」と「運」……オンマニパドメーフン……こんな伏線……

・二郎神と天帝出てくると神々しさがすごい。白い。マント捌きが美しい…さすがに殺陣の時は外してたけど、最初は二郎神耳飾りつけてたので無事死亡しました(長髪・銀白髪・耳飾り・切れ長の目・角のない鼻にかかるような柔らかい声が私の五大抗えない要素です)

ダエモンさんめっちゃいい声…!

牛魔王、すごく良かった。ただの悪役では終わらせない。牛魔王の復讐心の中に、怒りや悲しみ、悲痛なものが垣間見えるからこそ辛い。牛魔王となり、すっかり汚れ草臥れても、形見の羽衣は手放さなかったのが切ないし、最後のシーンの台詞、「牛魔王」ではなく「牽牛」だった頃の声と顔に戻っていて泣いた…。牛魔王見てダエモンさんに惹かれない人はいないんじゃないかって思うくらい、本当に良いキャラクターだったと思う。

・悟空は南天をお人好しだと言ったけど、悟空も相当なお人好しなんだよね。それを利用されてしまう…

・金角銀角、ニコイチ感可愛い。

・ひょうたんに吸い込まれたい混世魔王のとこ笑わん人いる??あの「アーーーーーー」何回聞いても笑えると思う。面白すぎる。

・魔家怖い。めっちゃ怖い。ゆらりと客席を見やる紅、甲高い声で笑う海が目の前に居たのでめちゃくちゃ怖かった…サンエーさん、人ならざる者似合いすぎじゃないですか?

・悟空の怒りが増していく様が凄まじくて、空気すら震えるようで びりびりした…

・玉帝様と二郎神の立ち回りが美しい。動きに無駄がなく流れる水のようで、圧倒的に強い、と感じさせる…

・玉帝様、あの悟空相手にさらっと背後を取る。マントを翻してさっと背後取った一連の動き、非常に美しかった

・一対四で余裕な二郎神、あまりにも強い。最初危ないのかと思いきや、「一人崩せばあとはたやすい」とあしらってしまうの……二郎神に心奪われた身としては強いかっこいい…と思ったんだけど、魔家側を想ってみると、四百年という気の狂いそうな長い時間鏡に封じ込められ、その長い時の中抱き続け膨らんだ二郎神への憎しみがあったはずで。でもその四百年間の思いは、あんなにもあっさりと切り捨てられてしまった…

・「魔家四兄弟だったか」「魔家四将です」のくだりと、悟空との対決を「楽しい」と言う玉帝から、ああこの主従、自由な主と苦労人従者だ…とひらめいてしまい 私は…(苦労人常識人好き)

・アクションがすごい パルクール?飛ぶし回るしとにかく派手で見てて楽しい。

・小猿たちの袋叩きめちゃくちゃ笑ったしちびっこたちもアクロバティックで驚いた。

・捲天シンメかっこかわいい。トラスケさん長髪似合いすぎじゃないですか…??

・地上に落ちる捲天、ほぼ事故なのかわいそかわいい。二人で可愛いポーズ取りながら落ちてったよね……

八戒のお腹撫でさせて欲しい……ジューローさんも度々撫で回してたの、その仕草が超キュートで……

・どこのシーンだったか詳しく覚えてないんだけど上手側の出口から二郎神がハケた時があって、まっすぐに前を見据えて足音響かせ去る二郎神が強く印象に残ってる…

・三味線の生演奏、かっこよすぎる

・白龍に変化した玉帝VS悟空のシーンがかっこよくて!!尾に巻き取られ浮いてるとことかすっっごかった……

・ナタ、ローラーシューズがぴかぴかしてたりしゃべり方が小生意気だったり憎めない可愛さ!捲天普段からこうやって振り回されてんだろうな~~と思ったり。

・髪ほどいてからの悟空、動きが前より猿っぽくなった気がして…激情と本能のまま暴れ狂う様子が辛かった。このあたりから殺陣激しすぎて最後の方殿のマイクが後ろに回ってしまってたんだけど、幸か不幸かそれによって終盤の身を裂くような懺悔と後悔の叫びがほぼ生声だったのが痛いぐらいに体中に響くようで、しばらくその衝撃が抜けなかった。

・オンマニパドメーフン、何度も叫びながら、「化物退治なんだろう、効けよ!!!」という台詞の悲痛なことよ…

・ED ここで ED!!!!!!あんなの泣いてしまうじゃん……

・500年待つ、という決意。あの出会いが、ほんの短い交わりが、途方もなく長い時を一人きりで待つ決断をさせるほどに、悟空に影響を及ぼしていたということ。それに思い至る時、南天のあの笑顔が頭に浮かぶんです。

お人好しで、へなちょこで、どうしようもなく非力な人間。でもきっと悟空にとっては太陽なんだろうなあ。

 

最後の方はもうぼろぼろに泣いてて、劇場出てからも熱に浮かされたようにふわふわしてるしでもお腹の底は燃えるように熱くて、とにかくひたすらに今日来られたことを、一人でも乗り込む決断をしたことを、心の底から良かったと思いました。

縁があるから円頓寺、これも何かのご縁かな。

まさに縁に導かれてナゴヤ座と出会った私。そのご縁に感謝しつつ、自分の意志で、もっと強いご縁にしていきたいと思ってしまった、その結果が「今月末は泊まりで名古屋に行っちゃうぜ」な訳ですが。

そんな自分をああチョロいオタクだなぁと思いながらも、あの日の感動を思い出しては「だってご縁と運命だもの」と開き直って、月末を心待ちにしているのでした。

 

もし読んでくださった方がいらっしゃいましたら、自分用の覚書、感想の吐露なので読みにくいわポエミーだわで非常にお恥ずかしいのですが、ここまで読んでくださりありがとうございました。